地震計　　　　　　　　　　　　　　　　　　

私はナマズは飼わぬがミジンコを飼っている。玄関先の軒先にハッポウスチロールの箱を置き、ここに近くの野池からバケツごとくんできたのを二年前から飼っている。時々箱をのぞいて縁を小突くとミジンコがワァ〜と騒ぐ。地震だと思うのだろうか。

そこで思いついたが、ミジンコ地震計を作ろうと思う。まず、朝出勤前に箱をにらんで、こう念ずる「帰ってきたら箱を小突くゾ！」と。で、帰った時、箱を小突く。これを毎日繰り返す間に、夕方になると、ミジンコらは落ちつきがなくなり右往左往し始めるに違いない。

次に、朝、箱をにらまなかった日の夕方は小突かないことにする。朝にらみの日は小突き、にらまずの日は小突かない。これを繰り返すと、ミジンコらは私の“気（にらみ）”と小突きの関係を知るようになる。要するに地震の“気”を事前に察知するようになりはせぬかというわけだ。この訓練されたミジンコを、ご希望の面々にお分けして、社会の平和に貢献したい。　　　

二年間飼ってみてわかったが、箱を雨水が自然に入る日陰に置きさえすれば、餌などはやらずとも自然に水草が生え、水はいつまでもきれいで彼らも元気である。小突きさえなければ箱の中はパラダイス。毎日様子を見ている間に、私もここへ移住したくなった。　　ん？

ミジンコと釣りの関係？　

あるような、ないような。

近い将来、歳取って釣り竿（さお）持つのがしんどくなったら、終日ミジンコながめて安穏に暮らそうかな。